『機動戦士ガンダム0080ポケットの中の戦争』は1989年にガンダムシリーズ初のOVA化されて大人気を博した6話、合計約3時間のアニメです。
ファーストガンダムと呼ばれる1979年に放映された『機動戦士ガンダム』では、地球連邦軍とジオン軍の戦争を描いていますが、そこでは語られることのない辺境で起こった出来事を少年アルの視点で物語にしたものです。
これまでもこれからも主人公がガンダムに乗らないガンダム作品として異色なストーリーであるものの、ファンの中ではそのストーリーの完成度と魅力的なキャラクター、洗練されたモビルスーツからいまでも大人気の作品となっています。
先日放映されたNHKによる「全ガンダム大投票」という、視聴者投票によってガンダム作品やキャラクター、モビルスーツをランキングしようという意欲的な番組でも、いずれにおいても上位にランキングされています。
それでは、ファンの心をいまだに引き付ける、涙ながらには見られないラストシーンの数々、感動のストーリー最終話の結末についてご紹介します。
涙のラストシーン①:アルの祈り
新型ガンダム「ガンダムアレックス」との性能差は歴然であり、普通に戦って勝てる相手ではありません。
しかもこちらは半壊したザクⅡ。
バーニィには逃げるという選択肢もありましたが、アルやコロニーの人々を見殺しにすること、そして何より仲間を失ってただ一人になって何もできない自分から逃げることが耐えられませんでした。
バーニィとアルは半壊したザクⅡを直し、ガンダムと戦うことに。
でも少年のアルを戦いに巻き込むわけにはいきません。
バーニィはアルに必ず勝てるといい、別れを言います。
アルはこの戦いに勝てると信じていましたが、それでも祈らずにいられません。
バーニィと別れたあとに祈るアルの祈りのシーンが涙のラストシーン①です。
涙のラストシーン②:戦闘を止めにいくアル
バーニィが性能差が歴然のガンダムアレックスとなぜ戦い、なぜ破壊しようとしたのか。
それは、ガンダムアレックスを破壊しなければ、このコロニーごとジオンの艦艇が核攻撃で破壊をしようとしていたから。
そうなればアルはもちろんのこと、コロニーの住民を巻き込んでしまうことになる。
それを知ったバーニィには逃げるということができなかったのです。
でも、ガンダムとの戦闘が始まってすぐ、アルは父親から核ミサイルを搭載したジオンの艦艇が降伏したと伝えられます。
もうバーニィは新型ガンダムと戦う必要がなくなったのです。
アルは必死に走ります。
バーニィに戦う必要がないことを伝えに。
しかし無情にも戦闘は始まっていて、アルの声はバーニィに届きません。
アルの声が届いてくれー!!と叫んだ人は多かったはず。
ここが涙のラストシーン②になります。
涙のラストシーン③:ガンダムと刺し違えるバーニィのザクⅡ改
バーニィとアルが仕掛けた罠によってガンダムを追い詰めるザクⅡ改。
脅威となるガトリングガンを負傷しながらも破壊。ヒートホークでガンダムのコックピットを切り裂き、ガンダムのパイロットも負傷。
そのまま相対するガンダムとザクⅡ改。
アルは必死に駆け寄りますが、アルの目の前でガンダムの頭部をヒートホークで切り落とすも、コックピットをビームサーベルで貫かれるザクⅡ改。
ガンダムは大破しますが、ザクⅡ改は上半身を爆散させ、バーニィは死んでしまうのでした。
・・・バーニィが死んでしまうのは、物語の展開として仕方なかったのかもしれません。
でも、この衝撃のラストシーンに大きな衝撃を受けた人は多かったはず。
唯一の救いは、お互い淡い恋心を持っていたクリスとバーニィが、ガンダムとザクⅡ改のパイロットで戦っていたことを知らなかったことでしょうか。
クリスは最後にアルに「バーニィによろしくと伝えて」と言うところで、アルは必死にこらえていました。
それでもバーニィのビデオレターを見て、クリスに罪はないんだと思い込もうとするアル。
ガンダムシリーズ全作品で、ガンダムが量産機1機にやられてしまうことはなかなかないのではないでしょうか。
そういった意味でも衝撃のラストシーン、そして涙のラストシーンとなるでしょう。
涙のラストシーン④:バーニィのビデオレター
バーニィはアルにある小包を渡していました。
万が一、バーニィがガンダム破壊に失敗した時に見てほしいと。
そのビデオレターにはバーニィは自分が死ぬであろうことをアルにつたえています。
でも、アルにはそのことでガンダムのパイロットや、連邦軍を憎まないでほしいと。
みな、好きで戦いをしているんじゃない。
仕方ないことだから、憎んではいけないとアルに伝えるのです。
このビデオレターこそが、この作品がもっとも完成度が高く、そして評価が高い所以だと思っています。
戦いは凄惨で非情で、やはりあってはいけないこと。
どんな事情があっても起こしてはいけないこと。
そしてそれは、人を憎まないことが一番大切だと伝えているのです。
これはいま、争いに巻き込まれている人に伝えたい一番のメッセージだと思っています。
最後のこのシーンこそが本当のラストメッセージ、涙のラストシーンといってもいいのではないでしょうか。
感動のストーリー:最終話の結末
最終話は、『機動戦士ガンダム』で語られる戦争自体が終結し、アルがいるここでも平和が訪れます。
でもこの平和にはたくさんの代償がありました。
平和な世界に生き、戦争にあこがれさえ持っていた少年アルは、戦争の本当の意味、悲しみを知り、ひとり泣き出します。
ここに『ポケットの中の戦争』がポケットの中ではなく、現実のものとしてアルの心に突き刺さり、アルを否が応でも大人へと成長させた瞬間だったと思います。
新作:『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』とのつながり
「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」が2019年冬に劇場公開されます。
出典元:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ ティザーサイト(2019年2月23日引用)
[…]
2019年冬、ガンダムシリーズ新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が劇場公開されます。
この新作は、『ポケットの中の戦争』と多くのつながりがあります。
つながり①:ファーストガンダムからつながる歴史の中で同じ時間軸で語られる物語
『ポケットの中の戦争』はファーストガンダムで語られている戦争末期の物語です
主役である「ガンダムNT-1アレックス」は、ファーストガンダムの主人公「アムロ・レイ」が搭乗するはずだった機体。
一方、『閃光のハサウェイ』では「アムロ・レイ」が所属するホワイトベース隊の艦長代理であった「ブライト・ノア」と操舵手「ミライ・ヤシマ」との子供「ハサウェイ・ノア」が主役となります。
「ハサウェイ・ノア」は「アムロ・レイ」が最後となった『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において、アムロに大きく感化され、そして惹かれあいながらも自らの手で殺めてしまう敵方パイロット「クェス・パラヤ」に心を縛られている、そんな状態ではじまる物語が『閃光のハサウェイ』なのです。
つながり②:キャラクター原案が同じ美樹本晴彦氏
美樹本晴彦氏はガンダムシリーズ作品の小説において多くのキャラクター原案をつとめています。
そしてこの『ポケットの中の戦争』と『閃光のハサウェイ』も同じく美樹本晴彦氏がキャラクター原案をつとめているのです。
ちなみに、美樹本晴彦氏は『超時空要塞マクロス』のキャラクター原案でも有名ですね。
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つながり③:悲劇のストーリー
『ポケットの中の戦争』は悲劇のストーリーでした。
実は『閃光のハサウェイ』も悲劇のストーリーなのです。
『ポケットの中の戦争』において準主役であるバーニィは死んでしまいますが、『閃光のハサウェイ』でも主役の「ハサウェイ・ノア」は死んでしまうのです。
それも、死に方はガンダムシリーズ作品の中で、間違いなくトップではないかと思われるほど悲惨な死に方をとげます。
このように、『ポケットの中の戦争』と『閃光のハサウェイ』は多くのつながりをもっているのですね。
まとめ
『ポケットの中の戦争』はその完成度の高いストーリーと魅力的なキャラクター、洗練されたモビルスーツによっていまでもガンダムファンから高い評価を得ていると書きました。
ただし、この物語の性質上、続編は描かれていません。
一説ではクリスは退役してアナハイム・エレクトロニクスに就職している?なんてうわさもありましたが、これも似た人物がアナハイム・エレクトロニクス社の制服を着ていた描写があったということに過ぎず、真相は定かではありません。
主役のアルもその後、どのように成長したのかは描かれていないというのが現状です。
もしかしたら、今後アルが成長した姿で出てくるかもしれませんね。
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出典元:機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ ティザーサイト(2019年2月23日引用)
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