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帚木蓬生著『聖灰の暗号』書評・考察について

こんにちわ、かわうそです。

今日は帚木蓬生著聖灰の暗号についての書評・考察です。

 

前回の書評でも書きましたが、著者は医者でもあり、医療関係の描写はリアルで迫真に迫ったものがあります。

 

前回の記事:

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しかし、今回の主人公は歴史学者という少し変わったアプローチとなっています。

 

また、おそらく氏は隠れキリシタンにただならぬ思いをお持ちなんだろうと思いますが、

今回のテーマはキリスト教における異端についてです。

 

帚木蓬生が描く『聖灰の暗号』考察

異端審問」というと「魔女狩り」として有名なジャンヌダルクを心に浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、「魔女狩り」と「異端審問」は異なります。

 

私自身、本書を読むまで知らなかったのですが、「異端審問」のはじまりは11世紀頃のフランス、キリスト教の一派であった「カタリ派」と呼ばれる人々への異端審問が最初だと言われています。

引用:カタリ派(The Cathars) by wikipedia (最終更新 2018年4月30日 (月) 09:04 (日時は個人設定で未設定ならばUTC))

 

この「カタリ派」はキリスト教の一派ではありましたが、結局はローマ教会の教えと異なるということで異端扱いされ、「異端審問」の末、関係者全員を処刑、この世から抹殺させるという悲劇を生んでいます。

 

この本では、「異端審問」のはじまりから、この世から消された「カタリ派」の人々に焦点を当てているのですが、本作でも述べているとおり、過去存在した何気ない普通の人々に迫り、彼らの思いや暮らしの記憶を掘り起こすことこそ歴史学者の使命だと綴っており、それはおそらく著者にとって「隠れキリシタン」への思いと繋がっているのではと思わされました。

 

ただし、秀逸なのは、本作全編に渡って「異端審問」によって弾圧された「カタリ派」の悲劇を綿密に描写しているためにどちらかというと暗く、その思いの強さによって冗長になりがちであった本作を「時の権力者によって消し去ろうとしているその弾圧の歴史が”暗号”という形で現代に蘇る」というミステリー要素を加えたことでしょう。

『聖灰の暗号』で描くローマ教会の不都合な真実

ローマ教会の不都合な真実は映画ダ・ヴィンチ コードで初めて知る人も多かったのではと思いますが、本作もまさにローマ教会の不都合な真実を赤裸々に語り、疑問を投げかけている勇気ある小説だと思いました。

 

著者は“小説”という形をとることで、巧みにフィクションとノンフィクションの境目を見えなくし、また主人公とサポート役である女性とのロマンスを織り交ぜることで、冒険ロマンス小説としての地位を確立させていますが、前述したように弾圧された人々の記述があまりにも精緻に且つ多くの字数を割いて描写されているところを読むと、伝えたかった本当の意図はこの「異端審問」の歴史「カタリ派」の真実にあるような気がしてなりません。

 

この小説はフィクションですが、「カタリ派」が実在し、ローマ教会から異端視されて弾圧を受け、存在自体を消し去ろうとしたことは、時の権力者がいかにその事実を隠蔽しようとしても、結局は後世まで語り継がれていったことを考えれば、その弾圧自体がいかに常軌を逸していたかが容易に想像されます。

 

小説の中で、「異端審問」およびその処刑方法について事細かに記述されていますが、文字だけにも関わらず、その描写は凄惨を極め、しばらくはその衝撃で思考が停止し、心臓の鼓動が異様に体を打ちつけ、あたかも自身がその責め苦を追体験しているかのように錯覚するほどです。

 

キリストの受難『聖灰の暗号』との共通点

 

少し話はそれますが、キリスト教では、イエス・キリストの受難を追体験することで、キリストに近づき、その罪を償うという考え方があります。

 

ダ・ヴィンチコードでオプスデイの一員、アルビノの”シラス”が、棘付きの鞭で自らの体を打ったり、”シリス”と呼ばれる棘付きの鉄輪を太ももに巻いていましたが、一部のキリスト教信者ではそうした行為が行われていたと言います。

 

また、私が見た映画の中で唯一、最後まで直視できず、その痛みでトラウマになるかと思った映画がパッションです。

メル・ギブソン監督のその名も”キリストの受難”を意味するこの映画は、イエス・キリストが磔刑に処せられる12時間を描いたものです。

 

この映画で心臓発作によりなくなった方もいるくらい、衝撃の映像の連続ですので、本当に心臓の弱い方は絶対に危険ですので見ないでください。

 

、、、この「聖灰の暗号」にも少なからずそうした側面があるような気がします。

 

まとめ

・帚木蓬生が描く『聖灰の暗号』考察:「異端審問」にかこつけたカタリ派弾圧の歴史をあきらかにする物語

・『聖灰の暗号』で描くローマ教会の不都合な真実:ローマ教会こそが唯一の教義であり、他を認めない歴史が悲劇を生んだ

・キリストの受難『聖灰の暗号』との共通点:キリスト教ではキリストの受難を追体験することでキリストに近づけるという考え方がある。映画『パッション』では恐ろしいまでの受難を追体験できるが、『聖灰の暗号』もそれに近いほど描写が残酷で、読者に訴えかけるものがある

 

キリスト教の隠された歴史、冒険ロマンス、フランスの情景が好きな方には絶対にお勧めする小説です。

 

本を読む女性

カタリ派
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