こんにちわ、かわうそです。
今日は東野圭吾著「パラドックス13」についての書評です。
【私の評価】★★★★☆(85点)
東野圭吾氏の著作はミステリー作品としてあまりにも有名かと思います。特に小説をそこまで日ごろ習慣的に読むほうではない人が、旅行の移動中や暇な時間をつぶしたいなと思ったときに、とりあえず選ぶ著作として、東野圭吾氏の著作は最適でしょう。
ただし、著者の作品にも傾向はあります。
私自身、本を読むときにそのときの気分によって読みたい種類の本が異なります。
例えば少し本にのめり込んでその世界に浸りたいときや、気分がふさいでいて気持ちを明るくしたいとき、主人公に感情移入してわくわくした気分になりたいとき。
ちなみに、そうした気分と読む本の内容が異なっていると、とたんに本に対する興味を失って、名著と呼ばれるものでもそれ以上読み進めることができなくなってしまいます。
そうすると、その本に対して悪いイメージを持ってしまい、ややもすると著者に対しても同じような感情を持ってしまうことで、今後その著者の作品を読まなくなるという最悪なパターンにもなりかねません。
そうした不幸な出会いを避けるためにも、この本がどういう気分のときに読むといいか、私になりに思ったことを書くことで皆様に少しでも役に立てばと思っています。
では、「パラドックス13」はどういうときに読むべき本でしょうか。
少し小説の中身を紹介します。
作品のキャッチコピーは
- 「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。これはそういうお話です」
- 運命の13秒。人々はどこへ消えたのか
あらすじ
3月13日13時13分13秒、ブラックホールの影響で「P-13」と呼ばれる現象が発生することへの対策が、政府の間で極秘に進められていた。学者や政府関係者ですら、具体的にどういう現象が発生し、どういう影響を受けるのか詳細につかめないため、関係各署には、その時間だけ危険な作業を中断し危険な場所から離れるよう通達だけされたが、国民には混乱が起きないよう、この情報自体、その時が過ぎるまでの極秘事項として決して公開されなかった。。
引用:パラドックス13 (by Wikipedia 最終更新 2017年9月2日 (土) 15:33 (日時は個人設定で未設定ならばUTC))
もちろんフィクションの小説です。さらには一見、この「3月13日13時13分13秒、ブラックホールの影響で「P-13」と呼ばれる現象が発生する」という書き出しが、この作品がコメディなのかと思わせるところがありますが、コメディ作品ではありません。
3月13日13時13分13秒に発生した事象に取り込まれた人々が、極限状態で共同生活を行っていく、そこに発生する人間ドラマや善悪の判断、選択の仕方等々、非日常状態が織りなす人間模様が登場人物の息遣いまでリアルに描写され、また次々と襲い掛かる悲劇に最後まで息をつかせず、ページをめくる手が止まらなくなる、そんな小説です。
もうひとつ、私自身はこの小説にダニエル・デフォー著「ロビンソンクルーソー」やジュール・ベルヌ著「神秘の島」を思い起こさせ、そういった意味でもワクワクしました。自分たち以外、誰もいない世界で多くの物資を確保し、危険を避けて行動する。孤島に閉じ込められて脱出のためにもがく人々の行動が、東野圭吾氏のあの躍動感たっぷり、且つ主人公たちの感情をむき出しにして描き出すストーリーによって、この世界に吸い込まれて、この本の残りページが少なくなるごとに”終わらないでくれー!”と思ったものです。
私はこの本を
思い切り本の世界にのめりこみたいとき、特に長いフライト等で長時間過ごさないといけないときにお勧めします。
搭乗してから気づいた時にはCAの到着アナウンスが流れていること請け合いです笑
・思い切り本の世界にのめりこみたいとき、特に長いフライト等で長時間過ごさないといけないときにお勧めです
・コメディではありません。冒険活劇の要素があります。