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アフリカ病気の子供

書評 ~アフリカの蹄~ 帚木蓬生著

こんにちわ、かわうそです。

 

今日は書評を書きます。

 

本のタイトルは「アフリカの蹄」帚木蓬生著 1997年初版 です。

 

フィクションではありますが、人種差別問題がメインテーマの小説です。

主人公は心臓外科医。

世界でも有数の心臓移植が行えるアフリカの病院に研修医として日本からやってきた”作田信”という男の視点で綴られる物語です。

 

”アフリカ””人種差別”とすれば、1948年から1994年までアフリカの最南端、「南アフリカ共和国」で続いたアパルトヘイト政策、そう、人種隔離政策を思い起こす方も多いと思いますが、まさにそこが物語の根幹になっています。

 

時はまだアパルトヘイト政策全盛期。

白人と黒人、およびカラードといわれるインド系、アジア系をあらゆる生活の中で分離することが政府の方針として堂々と実施されていた時代。

いまではおよそ考えられませんが、白人とそれ以外が暮らす街において、白人専用のレストランやデパート、公園、病院、公共交通機関とそれ以外の人が使うものがはっきりとわけられ、それが当たり前の世界。

白人専用のレストランに黒人やカラードが入れば、面と向かって”ここはあなたがくるところではない”と言われ、拒否されるのです。

 

そんな世界で起こる、黒人だけに起こる集団感染。しかもそれは、WHOが世界絶滅宣言をし、もはや一部の研究施設にしか残るはずのない”天然痘”であることがわかります。

そこには、白人による壮大な陰謀が隠されていたというのが、この物語の核心となっているのです。

 

少し話がそれますが、”天然痘”で思い出すのは、テレビ化、映画化され、ハリウッド進出まで果たした鈴木光司著「リング」でしょう。

小説「リング」でも、貞子の怨念を媒介するのは絶滅したとされた”天然痘”ウイルスでした。

 

「リング」においては”天然痘”の恐ろしさはそこまで描写はされていませんでしたが、「アフリカの蹄」では、世界絶滅宣言をされたウイルスが万が一再発した場合の恐ろしさを思い知らされてくれます。

通常では存在しないはずのウイルスに対抗するすべのない人類は、ワクチンがなければなすすべもなく死に至ります。

 

主人公は、日本人で研修医という特権を顧みず、この国で虐げられているアフリカの人々を救おうと奔走するのですが、、、というストーリーです。

 

 

帚木蓬生氏の小説は、氏自身が医師であるということもあり、医療がテーマになることが多く、医療関係用語や医療問題の描写が細かく秀逸です。とてもリアルに描写されており、医師や医療が抱える問題をわかりやすく読者に伝えてくれます。

 

私は、医療関係の小説がなぜか好きで、帚木蓬生氏のリアルな医療現場の描写にいつも引き込まれて時間も忘れて読みふけってしまいます。

しかも、著者の小説は実際にある医療と、まだ実現していない医療の境目が見事に融合しており、どこまで本当でどこまでがフィクションなのかが素人目にはわかりません。そこに医療の深いテーマ「移植」「生殖医療」「尊厳死」などがまざまざと突き付けられているのですが、私が好きなのは、そこに登場する主人公がそれらの深いテーマに対して強い情熱と信念を持ち、世の中の趨勢に対して一石投じている点です。

 

著者の小説はこれも一貫しているのは、主人公は強い情熱と信念の持ち主であり、困難に立ち向かいそれを常識や習慣、世の中の道理といった一般概念に覆されることなく、その行動は一貫しているというところです。

現実には難しいかもしれません。

それでも、それだからこそこのすがすがしいまでも一貫する主人公の行動指針に読者は憧れ、主人公に感情移入してしまうのではないでしょうか。

 

また少し話はそれますが、私自身、アメリカ駐在をしていたときに、日本では感じることのない”差別”というものを、面と向かって言われたり、実際に何かをされたというわけではありませんが、日々感じることがありました。

 

アメリカは「人種のるつぼ」とよく言われますが、それでも異なる人種グループ同士が、何の障害もなく交わっているということはありません。

黒人グループ、ヒスパニック系、中華系、白人でも東部、西部、中西部でその話し方は異なりますし、グループはわかれます。

見た目には差別がなくなっても、やはりそれらのグループが暮らすエリアやよく行く店は目に見えない境界があるようにはっきりとわかれていますし、グループ同士が仲良くなるということ自体、目指しているところでもありません。

これは差別とは言わないのかもしれませんが、人類はやはり野生動物と同じ”縄張り”という意識に縛られており、どうしてもそこは突破できない壁なのかもしれませんね。

 

「アフリカの蹄」

アパルトヘイト政策や、アフリカの黒人たちの虐げられた歴史が具体的にどのようなものだったのか。

興味がある方にはぜひ読んでもらいたい小説です。

 

本を読む女の子1

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