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各都市が世界大都市気候先導グループ(注1)として温室効果ガスの排出削減に取り組む都市ネットワークのうち、27の都市ですでに温室効果ガスの削減傾向が見られるというニュースからです。
地球温暖化抑制のため、2015年11月30日から12月12日の間、フランス・パリ近郊で開かれた第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)は京都議定書に変わる、あらたな取り組みとして「パリ協定」を締結し、温室効果ガス排出削減目標を定めました。
それにさかのぼること2005年、英国ロンドン市長主導によって提唱され、創設されたものがC40(世界大都市気候先導グループ)です。
引用元:C40CITIES 2018年9月15日 20時00分
(注1)世界大都市気候先導グループ(C40)は2005年、当時の英国ロンドン市長主導によって提唱、創設された温室効果ガスの排出削減に取り組む都市のネットワーク。当初、約20都市が気候変動対策に係る協力の合意を形成し「C20」として発足。翌2006年に40都市に拡大し「C40」と改称。現在、96都市が加盟(日本からは、東京都と横浜市の2都市が参加)。主な活動は、都市間のネットワーク推進、都市の気候変動戦略への助言、事例研究、国際会議開催、広報等。
近年の研究で、C40に参加している都市のうち、27の都市で2012年から温室効果ガスの排出量が減少傾向にあるということがわかってきました。
およそ約2%が2012年より毎年削減されているということです。
経済成長率は3%となっているため、都市の経済が拡大しているにも関わらず、温室効果ガスが削減されていっているということで、この取り組みの成果が出始めているとして注目されています。
今回の研究で、温室効果ガスの排出量が削減されている都市は以下の27都市です。
都市名 | 国名 |
サンフランシスコ | アメリカ |
シカゴ | アメリカ |
ニューオーリンズ | アメリカ |
ニューヨーク・シティ | アメリカ |
フィラデルフィア | アメリカ |
ポートランド | アメリカ |
ボストン | アメリカ |
ロサンゼルス | アメリカ |
ワシントン・DC | アメリカ |
ロンドン | イギリス |
ミラン | イタリア |
ローマ | イタリア |
シドニー | オーストラリア |
メルボルン | オーストラリア |
トロント | カナダ |
バンクーバー | カナダ |
モントリオール | カナダ |
バーゼル | スイス |
ストックホルム | スウェーデン |
バルセロナ | スペイン |
マドリード | スペイン |
コペンハーゲン | デンマーク |
ハイデルベルグ | ドイツ |
ベルリン | ドイツ |
オスロ | ノルウェー |
パリ | フランス |
ワルシャワ | ロシア |
ここで2つの事実に気が付きます。
1つ目は、日本がないこと。
日本は「東京」と「横浜」がC40に参加表明をしていますが、温室効果ガス削減傾向にないということです。
2つ目は、アメリカが9都市も入っていること。アメリカは12都市が参加加盟都市になっていますが、そのうち実に9都市で温室効果ガス排出減少傾向にあるんですね。
トランプ大統領が、COP21から離脱表明をしたのも、こうした背景が影響しているのかもしれません。
日本はCOP21において、以下の目標を達成することを約束しています。
・2030年までに、2013年比で、温室効果ガス排出量を26%削減する(2005年比では、25.4%削減)。
森林・土地利用部門での吸収量を3700万トン(2013年度排出量の2.6%相当)見込んでいる。京都議定書と同じ方式で算定する。
JCM(二国間クレジット制度)については、削減目標の試算には含まれていないが、JCMの下での削減量や吸収量は、適切な方法でカウントする。
しかしながら、日本はエネルギー消費量で世界の第4位に位置しており、そのライフスタイルはエネルギー消費が前提となっていることがよくわかります。
人口減少だとしても(だからこそ?)温室効果ガス排出量を2030年比26%削減というのは相当厳しい目標です。
それでも世界の都市と比較してエネルギー消費量の高い日本の温室効果ガス排出量の削減ができなかったとき、日本の経済界は世界からペナルティを受ける可能性が高まります。
日本の食糧事情はご存知の通りそのほとんどが輸入に頼っているため、もしペナルティが高関税という形になったとき、日本経済に与える影響は相当大きいでしょう。
または、日本企業が海外でコンペとなったとき、このペナルティがディスアドバンテージとなって失注するという可能性も高まります。
海外の主要な大企業では、すでに自社の取り組みとして温室効果ガス排出量の抑制に動き出しているところも少なくありません。
例えば、ドイツの大手運送会社「DHL」は、配送トラックをクルマメーカーと共同開発で専用の電気自動車を開発しています。
これは市販のトラックを改造ではなく、あくまでも「DHL」仕様で開発しているのです。
引用元:DHL、自社開発したEVバン「ストリートスクーター」の販売に向け意欲
このように、企業はコストをかけてでも、温室効果ガス排出の削減を自社努力として実現させようとしており、それがビジネスのスタンダードになってくれば、世界を相手にビジネスをする日本企業は同様の対応を行わなければ今後海外での取引は総崩れになる可能性が高いと思われます。
日本はただでさえ”英語”という障壁によって海外進出が容易にできない国です。
今後、日本は確実に人口減少による経済の縮小を免れないでしょう。
そうなったときには否が応でも世界を相手にビジネスをしなくてはならないのですから、いまから世界のスタンダードを見据えた経営戦略をとるべきではないでしょうか。